icon-cartintel-logoicon-menu

adidas Originals by Hender Scheme (Japanese Version)

柏崎亮とErman Aykurtとの会話


    • インタビュー
    • Zen Tsujimoto
    • 写真家
    • Chad Imes

 

2017年9月2日、また新たな歴史が刻まれる。アディダス史上初めてのフットウェアとフットウェアのコラボレーション発売日だ。

今回のコラボレーションパートナーは、東京ベースのローカルブランド、Hender Scheme(エンダースキーマ)。一見、アディダスのシューズを良い素材でリプロダクションしていると思いきや、その背景にはカルチャー的な関係性やこだわりが詰まっている。このプロジェクトは、Hender SchemeがオマージュコレクションManual Industrial Productsを通して世に広めてきた価値観にアディダスが敬意を示しているだけでなく、大量生産されている商品を昔ながらの手法で手作りすることにより、お互いのフィロソフィーを最大限に引き出している。できあがった賜物は、今までにない新しいものだ。そして、熟練された職人が手作業で創り上げているため、生産数も限られている。何もかもが手に入るこの時代に、売り上げをとるという目的ではなくアート的なアプローチが印象的なコラボレーションである。Superstar、MicroPacer、そしてNMDというクラシックとコンテンポラリーなアディダスモデル達が、江戸時代から皮革産業が盛んな浅草(川が近いので、染革に向いている)の職人さんにより再現されるのだ。

今回、アディダスOriginalsのシニア・デザイン・ディレクターのErman Aykurt氏とHender Schemeの創業者兼デザイナーの柏崎亮氏に、それぞれ話を聞かせてもらった。Aykurt氏のインタビューでは、昔ながらの生産方式とアディダスの創業者Adi Dasslerのルーツの繋がりや、このコラボレーションを通して表現したいアディダスのコアバリューについて話していただいた。柏崎氏とは、工場、アトリエ、そして去年オープンしたHender Scheme直営店「スキマ」を回り、アディダスの東京本社にお邪魔させてもらった。柏崎氏と一日を過ごす中で、このプロジェクトの背景にある彼のイデオロギーや考え方を洞察することができた。靴を履き慣らすことによって、やっと100%になるのだと彼は言う。画期的なアディダスとHender Schemeのプロジェクトがなぜ今らしさ表しているのか、コラボレーションの背景を語ってもらった。

 


 

最初の質問はとてもシンプルな質問なのですが、自分の中でのアディダスの初めての記憶覚えていますか?

Ryo: アディダスはもう気づいた頃には知っていたというか。特に僕はサッカーをやっていたのでスパイクだったり、ウェアーだったりっていうのでアディダスとは出会っているというか、子供の頃から近くにあったブランドでしたね。

その時はどういうモデルを使っていたか覚えていますか?

ちょうどやっぱり小学生の時に、確か「プレデター」が出たり、例えば中学生になった時とか、高校生になった時とか、その世代世代でいろいろモデルがアップデートされていってテクノロジーでどんどん新しい技術によってアップデートされていったイメージです。その一方で、真逆でコパムンディアルみたいなクラシックな王道なモデルもある。どっちもあるのがアディダスなのかな、と。

どのようなきっかけで今回のプロジェクトは生まれたのですか?

アディダスのほうの人たちが僕らの展示会などに出入りしていて、実際に僕らの靴なりアクセサリーなりを身につけてくれていたりしていて、そんなひょんなことから、僕らは当然アディダスに対してリスペクトがあって、アディダスのそういう方たちも僕らにリスペクトを持ってくれていてっていうところから、じゃあ何かそこでお互いに持っているいい部分をコンバインして何か新しいプロジェクトやプロダクトを作れないかっていうのがキッカケですね。

今回のプロジェクトを始めた時は、どのような気持ちでしたか?

まあ、規模は違うけど、僕らとしては良い分に、フェアにやりたいと思っていて、 僕らじゃないとできないことがあるし、アディダスじゃないとできないこともある。なので、お互いのいい部分を活かして何か個々にできないことをできたらな、と最初から思っていました。

今回の企画はもちろんグローバルなプロジェクトですが、Hender Schemeの元々のファンにとってはどのような見え方になっていると思いますか?

僕らは今回アディダスと一緒にやるということでスタンスが変わったりということはなく、あくまでも一つの過程なので、特に今までとなにか変わって大きなことをしているつもりはあまりなくて、今までやってきたことをただ継続しているっていう感覚ですね。だから、まあ、オフィシャルになるっていうことはひとつ象徴というかシンボル的な出来事だから、僕らがMIPっていうオマージュっていうようなかたちで二次創作を行ってきたことが一創作者に認めてもらって、オフィシャルになるっていうようなこのひとつの流れが、現代的かなって。

ブランドとして今回のプロジェクトは今後に影響してくると思いますか?

ローンチされてみないとわからないですかね。アディダスはもちろん企業としてすごく巨大だし、僕らのことを知らない人が知ってくれるようなきっかけにはなるんじゃないかな、とは思っていますけども。だからと言って、僕らのスタンスが崩れることはないので、ただ、keep going…という感じです。

アディダスのような大きなブランドと一緒に今回のようなプロジェクトをして、一番勉強になったことはなんですか?

すごく手作りの要素が強いので、アナログな作業が多かったり、人の手が入る割合がすごく大きいのですけど、まあ、逆にアディダスはそれよりもテクノロジー、工場もテクノロジー化されていて、僕らには100足しか作れないところをアディダスは何万、何十万って作るような規模感でやっているので、お互いにすごく良いところはあるんだな、と。あと、僕らじゃちょっとできないようなテクノロジーのノウハウをたくさんアディダス社は持っているので、その点はすごく刺激になりました。

今回、ドイツを訪れたかと思いますが、本社での経験はいかがでしたか?

一番心に残っているのはアーカイブルームへの訪問で、やっぱりアディダスってすごいなって思ったのが、歴史のあるブランドでもあり企業でもあるということで、過去のアーカイブがすごく綺麗に保存されていて、デザイナーはセルフオマージュみたいな感じで過去のプロダクトのディテールをもう一度現代に復刻したりアップデートしたりしながら、記憶に残っているような何かを辿るっていうような作業があるのが、発見というか、面白いなと思って。僕らはまだ、2010年からだから8年目なので、過去のアーカイブを参考にしたりはしますけど、やっぱりアディダスほどの深い歴史はないし、なかなかその昔に自分たちが作っていたものを参考にするっていうのは限られたブランドにしかできないことだと思うので、それはすごく面白いな、と思います。

“「当初から、両当事者から最高のものを引き出し、私たち自身の個別の合意ではできなかったことをしたい」”

 

 

自分の会社の社内だけでなく、向こうのチームと会って働いてみて、どうでしたか?

コミュニケーションはお互いにリスペクトがあったのでスムーズにいったし、今回は生産がうちだったのもあって、ほとんどハンドリングはうちでやたので、コントロールはありました。ただ、アディダスの方で作るってなると、いろんなレギュレーションがあると思うので変わってくるのかな、と思うんですけど。今回のプロジェクトに関しては、結構うちでハンドリングした方が大きいので、特段なにか変わったことはあまりなかったですね。デザイナーさんと意見交換みたいな時間があったんですけど、結構あっちはテクノロジーがあったり、規模がデカかったりするけど、考え方の根本みたいなところは共感出来る部分がたくさんあって、すごく面白いな、と思いました。

東京で生産してグローバルに販売するということですが、商品のチェックは厳しかったのですか?

そこはすごく厳しかったし、すごく時間がかかったので、プロダクションコントロールのチームは苦労していました。

ドイツからそのために来たりしたんですか?

そうですね。チェックも入ったし、革の試験も全部出しなおしているし、結構直したりしましたね。

 

 

今回のコラボレーションは、SuperstarからMicro Pacer、NMDなど、oldとnewが混ざって面白いバランスになっていますね。どのようにセレクトしたのですか?

SuperstarとMicroPacerに関しては、うちがMIP、Manual Industrial Productsっていうシリーズで今まで展開してきたものを、少し木型とか型紙をアップデートしてロゴと三本線が入っているというかたちで、本当に今までやってきたアンオフィシャルな二次創作のものが、今回のコラボレーションでオフィシャルになったっていうようなプロダクトで。NMDに関しては今回オフィシャルになるに当たってもう一歩踏み出した新しいものを作りたいということで、僕が作って持って行って提案しました。

特にNMDは現代的なモデルですが、どのような考えで作ったのですか?

基本的にMIPは工業製品と手工業の対比で、お互いの良いところが浮き上がれば良いというコンセプトがあるので、まずはみんながイメージ出来るモデルを作ることに意味があると思うんですよ。となると、NMDってやっぱりすごくポピュラーな靴だし、かつ最新のテクノロジーのディテールが備わっているので、それをすごくアナログに不効率な生産方法で作ると、より良さが際立つのではないかと思いまして。NMDはチャレンジだったんですけど、ピックアップして僕らなりの作り方でリクリエイトしたっていう感じ。

面白いですね。NMDを履いている人はたくさんいますが、今回のプロジェクトで価値観が広がって全然違うものになるかもしれないですね。先ほど少しお話を聞きましたが、ドイツのチームとの働き方を説明していただけますか。

フットウェアのブランドとしてのパートナーというのがアディダスで今までに前例がなかったようで、アディダスがいまコラボレーションをしているパートナーってアパレルのデザイナーが多いんですけど、僕らはフットウェアやアクセサリーも含めてプロダクトデザインの領域の方が大きいので、普通のパートナーさんは、デザイナーがついて実際に絵を描いたりするみたいなのですが、僕らはフットウェアのブランドだってこともあるし、フットウェアに関してある程度知識があるので、僕らが会って打ち合わせをしてやりたいことを実際に僕らの背景でかたちにして作って持って行って、見てもらうというような感じでした。

アディダスがフットウェアブランドとコラボレーションをするのは初めてだったのですね。

そうだと言っていました。なので、僕らはアイディアを言うっていうよりは、立体物にして持って行った方が、話が通じやすくて。この間もパリで打ち合わせをしたんですけど、僕が思っているアイディアを絵にして、絵にしたものをうちの職人でラフなものを作っちゃって、それをあちらに提示する、という感じ。

このプロジェクトにおいて、一番のチャレンジは何でしたか?

僕らとしてはロゴがのる、トレードマークがのるっていうのが一つ大きな出来事で、アンオフィシャルなものがオフィシャルになる一連の流れっていうのがすごくコンテンポラリーだと思っているし、誇らしいこと。僕が一番このコラボレーションにおいて意味を持つところはそこだと思っていて、僕らがやってきたことがオフィシャルになって、そこにロゴがのって、それがコラボレーションというかたちで新たにまた世に出るっていう一つの流れが、デザインとして面白いというか。単にこのプロダクトのみのデザインではなく、一連の流れがデザインになっていると僕は思っている。チャレンジというのは本当にそこかな…アディダスはデカいから、アディダスの中での調整も必要だったと思うし、でもやっぱり世の中のクリエイティブのメソッドって、既存のものをフックに何か新しいものをアップデートして作るのの繰り返しで文化になってきていると僕は考えているので、そういったものを全て排除するのではなくて、もちろん悪質なものは排除しても良いと思うけど、基本的にはそれを全部排除しちゃうと文化が進んでいかないし、そこで途絶えてしまうものだと思うので。アディダスもオープンソースをある種のキーワードにしているということで、僕もオープンソースっていうのは興味のある流れとかカルチャーなので、そういう意味では今回の公式二次創作物っていうワードやオマージュがオフィシャルのプロダクトになるっていうのが、今のオープンソースっていう流れの中のひとつの出来事としてはすごく画期的なんじゃないかなと思います。

子供の頃からのアディダスファンとして、今回の企画でアディダスの見え方は変わりましたか?

はい、やっぱり歴史のあるブランドだなっていうことを再認識したし、巨大なチームで、ひとつのプロジェクトを動かすにもたくさんの人間が絡むんだけど、みんなすごく良いマインドでやっているな、と思ったし、よりリスペクトが生まれたところはあります。でもやっぱり規模が違っても結局ものを作るというのは何か通ずるところがあるので、逆に僕らみたいなちょっとローカルでやってることでも、より意味があるなっていうのが再確認できました。

今回のコラボレーション商品、どのような人が手に取ると思いますか?

どうなんでしょうね。すごく複雑なプロダクトじゃないですか、まあルックスはスニーカーだけど革底だし、履き方も革もデリケートだし。僕らのフィロソフィーとしても製品としておいてある状態が100%なのではなく、履いてそれぞれの100%を目指してもらうという考え方でものづくりをしているので、実際にコレクトするというのならその人の楽しみ方で良いと思うんですけど、僕としては履いてもらいたい、歩いてもらいたいな、というところがあります。

今回のコラボレーションで、一番伝えたいポイントはなんですか?

今回の生産はうちでやっているので、手工業、マニュファクチャっていう生産方法を取っていて、かたやアディダスはもうちょっとインダストリアルな規模感や考え方でやっているんですけど、僕はどっちがいい、どっちが悪いとかを言いたいわけではなくて、それぞれに良さがあってそれを受け手とか消費者の人たちが普通の生活の中で自分で取捨選択していくというか。だから、「これが素晴らしいでしょ。」って言われて、まあ僕は好きだしいいと思っているんだけど、かと言ってこれといわゆるアディダスのマスプロダクトのこっちが良くてこっちがダメとかいうのはなくて、お互いに良さがあることをこれを通して言えたらな、と思う。これはもちろん値段も高いし、手がすごく入っているし、革も良いものを使っているんですけど、それだけが全てではない、いい素材を使って時間をかけてっていうようなマッチョな思想ではなくて、でも一つの選択肢としてあるよね、っていうのが僕のスタンス。

 

Erman Aykurt 
Senior Design Director, adidas Originals Statement

どのような経緯でアディダスで働くことになったのですか

もともとドイツとイタリアのデザインコンサルの会社で働いてたんだけど、インダストリアルなプロダクトの立体物に平面的なデザインをする担当で、いわゆるグラフィックデザイナーでした。工場と色づくりをする際のコミュニケーションはまだファックスだったのですが、1997年に、当時のボスにコミュニケーションのとり方を変えて欲しいと言われたので、僕が全てのコミュニケーションをパソコンに変える作業をしたんです。同僚がアディダスの人と知り合いで、アディダスでも同じ作業が必要だったということで、僕を紹介してくれたんです。そこから僕とアディダスとの関係が始まりました。ずいぶん昔の話ですが。(笑)

ファックスからパソコンになるまで、いろんな時代を見てきたのですね。次の質問ですが、2つ聞きたいことがあります。コラボレーションをする前、Hender Schemeのことをどう思っていたか。それと、Hender Schemeを知ったきっかけを教えていただけますか?最初に知った時は、どう思いましたか?

まず、職人的なものづくりへのアプローチが印象的でした。それと、誰もが知っていてリスペクトしているアイコン的なスニーカーだけを選んで作っているということ。とても感情的でかつ、インダストリアルなプロダクトだと思います。マスなデザインを職人的な角度から再現することによって、スニーカーにより愛を込めているかのようでした。スニーカーというものは、カルチャー的価値が高いのとは裏腹に、使われているマテリアルはそれほど良いものではないし、値段も安い。亮さんはその間逆で、カルチャー的価値のあるものにさらに良いマテリアルをつかって職人が手作りすることで、商品の工芸品的な価値を上げていたのです。

ブランドを知ってすぐに、敵対心などではなくフィロソフィーを見いだせてすごいですね。カルチャー的な背景をすぐに理解できたなんて、正直、びっくりしています。

通常、デザイナーが著作権などの話に関与することはないんです。今はドイツに戻って本社にいるけど、加瀬雅敏という人間がアディダスの日本支部に2年間ほど勤めていました。加瀬さんが亮さんと知り合いで、もともと加瀬さんを通して亮さんの考えを聞いていました。広報担当の方も含め、Hender Schemeの人たちとサッカーをしたりもしていました。その辺り全般が、Hender Schemeとアディダスのタッチポイントでした。

 

日本支部の人たちの交友関係が、日本のローカルブランドとドイツの間のバッファーになったと思いますか?

バッファーとまでは言わないかもしれないけど、パーソナルな関係を築くことはとても簡単だからね。何も知らずに弁護士さんが判定を下すことはできるけど、交友関係があるということはお互いへのリスペクトがあるということにも繋がってくるから、どんなコラボレーションにおいても、リスペクトし合うことがお互いのブランドを結びつける大切なベースだと思います。

このコラボレーションの背景に、そういった特別なコミュニケーションがあったと知って嬉しいです。Hender Schemeというブランドを理解した上で、今回のコラボレーションでセレクトされたスニーカーモデルについてどう思いますか?普段のアディダスのMicro PacerやNMDなどの現代的なモデルとの違いは何だと思いますか?

Micro PacerとSuperstarはもうすでにHender Schemeが作っているモデルでした。ライフスタイルとスポーツ機能の両方においてテクノロジー性の高い靴だったということで、NMDも仲間入りさせました。 それぞれがアディダスの歴史的な節目を象徴する商品だと思うし、セレクトしたモデルたちは、それぞれ亮さんにとって良い意味でチャレンジになるスニーカーでした。彼と一緒に決めた時に、面白いセレクションになりそうだと言ってくれました。特に、最近良くみられる靴下のような構造のモデルは、亮さんにとっていい挑戦になったと思います。

普通の会社だったら訴訟を起こすであろう状況を、アディダスはコラボレーションというかたちをとることを選びましね。その経緯をお話しいただけますか?

一般的には、ブランドの偽造品が作られるとき、もとの商品の価値を下げてしまうことが多いのですが、亮さんはブランドそのものよりも知的財産の価値を上げています。彼のオマージュ・ラインは、王道コレクションだという印象が強いので、亮さんが作るモデルの仲間入りを果たすということは、価値が下がることではなく、逆に名誉なことという考え方です。第一印象がとても良かったというのもありますが、加瀬さんを通して亮さんがアディダスを好きであることも聞いており、お互いのことをもっと知りたいという自然な流れがありました。

 

 

アディダスの歴史の中で、このプロジェクトが象徴するのはどんなことですか?また、スニーカー業界やマーケットに、どのように影響を及ぼすと思いますか?

今のアディダスは、過去と未来の要素を結びつけたデザインが主流です。最近だと、クリエイティブディレクターのNick Gallowayの提案で、デザイナー達のパソコン作業時間を減らして、その分自分の手で創造する時間を増やすアプローチに変えていっています。なので、亮さんと仕事をするというのは我々デザイナーにとっても、どこまで追求できるかというのを見ることができるいい機会になったと思います。それと同時に、消費者がどう商品を使っていくかを尊重するという亮さんのアプローチにも、とても共感できました。その考え方は、Adi Dasslerのアプローチにも繋がるところがあります。亮さんがドイツでアディダスのアーカイブルームを訪れた時、アーカイブのほとんどが、Adi Dassler本人がアスリートの使用後の靴を集めたからだったと説明を受けました。彼も亮さんと同じく、磨耗された靴に興味があり、履かれた痕跡を読みとって改善方法を追求していました。また、アーカイブにあった1950年代のサッカーシューズで、スタッズまでもが革でできていたものを見つけ、亮さんも点と点が繋がったようで、興味深そうに見ていました。その昔ながらの考え方が今の時代でも反映されているというのが、とても重要だと思います。今現在のマーケットは誇大広告で溢れているので、今後はもう少し丁寧なものづくりや、ものの価値が重視される時代になるかもしれないですね。流行はみんな同じ方向に流れていくものなので、丹念なものづくりが波紋を呼ぶことに期待したいです。

このコラボレーションは、どのような人に向けた商品だと思いますか?

スニーカーを好きな人はいっぱいいるけど、この価格では、本当のスニーカー好きでないと手を出さないと思います。ありがたいことに、亮さんには作品を履いていくことに興味を持っていて、買うことを惜しまない、忠実なファンベースがいます。パリのファッションウィークで商品を見せたのですが、反響はとても良かったので、亮さんにとってもアディダスにとってもいい露出になると思います。露出のためにコラボレーションをするブランドは多いけど、亮さんは一気に有名になってプロダクションを増やすというようなことは望んでいないし、他の人から露出の手助けを求めていない。流れに任せて、会社を有機的に成長させたいと考えているようです。ですが、今回のプロジェクトで亮さんのフィロソフィーやつくっているものを広めることができるのは、とても良いことだと思います。

アディダスのような大規模な会社が、Hender Schemeのような小さなブランドから学べることは何ですか?

さっきも言ったとおり、どの革をどの部分につかうのかという知識も含めて彼の職人的なところがとても勉強になりました。アディダスで昔働いていた職人さんたちは彼のように知識が豊富だったと思うけど、工業生産が増えてきてからは、いろんなことが合理化されてしまった。なので、亮さんの職人的なアプローチや素材選びを見慣れた靴モデルで見ることができて、とても面白かった。彼から学べることはたくさんあるし、自社のアイコン的な靴をリスペクトしてくれている人の目線でつくってもらうというのは、とても素敵なことです。同時に、外から見た印象を僕も感じることができました。

Adi Dasslerさんの職人的な話もそうですが、社内のフィロソフィーを再認識し、良い意味でアディダスの歴史をの繰り返しを考える良いきっかけになったのではないでしょうか。ドイツと日本のものづくりへの姿勢において、似ているところはありますか?

新しいことを学ぶことへの好奇心、そして今に満足せずに改善の余地があると考えていることが、共通点だと思います。学ぶ意欲だけではなく、コツコツ前進していくことが大切なのですが、日本の人とドイツの人が違うと思うところは、日本人は改善していくことを恐れないということ。

あなたのデザインのインスピレーションは何ですか?

僕の背景はインダストリアルデザインなのですが、誰も知らないようなバンドで演奏していた故郷から都心に出てきたことから、全てが始まりました。(笑) フライヤーやポスターのデザインをしていくうちに、グラフィックデザインやアルバムカバーのデザインに関心を持つようになりました。クリエイティブな仕事に就きたいと思った最初のきっかけは音楽で、多くの人に影響を与える音楽の歌詞の哲学を徹底的に調べました。ポップミュージックからなるポップカルチャーという芸術的表現を、若者がいかに共通点や問題点に反応するのか。そういうことにすごく興味がありました。そして、僕はイタリアやドイツの様々な都市で留学をすることによって、その都市それぞれの生活や文化に直接触れることができました。音楽以外だと、アートや他の表現法など、ポップカルチャー全般が好きですね。ポップカルチャーがどのように移り変わっていって、社会の中で進化していくのか。これが僕の一番の原動力です。スニーカーというシンプルな商品が、若者カルチャーに共感を得たり、彼らの表現方法のひとつになったり、心配ごとや悩みごとを抱えながら自分自身を改善していくことに繋がっていく。私にとって、それは最高に面白いことです。

 

 

 

 

あなたのインスピレーションは、すごく深い感情から来ているのですね。

僕がデザインするものはとてもベーシックなので、良いデザイナーだとも思っていないけど、このような感情でこれからもやっていけたら良いと思っています。

あなたのデザインは未来の世代の人たちに向いていて、みんなが想像しているよりも遥かに潜在意識が高いのでしょうね。あなたの故郷は、何というところですか?

Ingolstadtという、十万人程度の小都市の出身です。大きなAudiの発電所で有名な場所です。

大学で故郷を離れてから、いろんなサブカルチャーを見る機会ができたのですか?

サブカルチャー、スニーカーカルチャー、そしてスポーツが盛んな学校だったから、スポーツ用品にも興味が芽生えました。ただスニーカーを履くのではなく、履いたときの反応や文化的な要素、スニーカーを履くことに纏わるそのすべてが好きだと気付きました。

あなたはアディダスジャパンで働いていた経験もありましたね。日本の支社で働くことになった経緯は何だったのですか?

そう、マーケティングの担当者と一緒に、日本にサテライトオフィスをオープンする為に行きました。青山にプロダクト創作の事務所を作るために場所を借り、スタッフも家具も揃えました。とてもエキサイティングな時期で、震災がきっかけで僕は離れてしまったけど、他のメンバーは日本に残りました。

 

まだそのサテライトオフィス実在しているのですか?

いや、今は新しいヘッドクオーターの中に統合されました。だけど、青山という中心部で働くことができたので、それがすごくいい経験になりました。いろんな人がふらっと挨拶をしに来たり、商品を見にきたり、郊外にいるよりも都市カルチャーの一部という感覚で、とてもよかった。

今考えると、すごく戦略的な配置だったのですね。日本、そして青山というエリアには、どのような魅力がありましたか?

青山はちょっと僕にはハイファッション過ぎるところがあるけど、原宿に近いというのが、一番よかったです。いろんな展示会場に近いというのもあって、よく昼食がてらにいろんなブランドの人たちに会いに行っていました。

あなたがアクティブにコミュニケーション能力を発揮したからこそ、今があるようですね。最後の質問は、先ほども少し触れていただいたことで、とてもシンプルな質問です。生産品数が少なく、高価格な商品である今回のコラボレーションですが、ひとりひとりの消費者に、どのような影響を与えられたら良いと思いますか?

アディダスのコラボレーションは、いつも僕たちの興味を反映しているところがあって、アディダスと他のブランドがどのように繋がれるかということを表現しています。生産数がどうとか、どのくらいの利益が出るかとかは、あまり関係がないんです。私たちらしさを見せて、他のブランドをリスペクトしていることを表現できれば、それが消費者にも伝わるし、興味を持ってくれると信じています。ブランド側は、独自の好みや価値観を持っているので、そのブランドとアディダスとの共通点を見出し、ブランドの代わりにそのブランド価値を世界に伝えたいと思っています。その点でHender Schemeは、ものづくりに関して非常に強いメッセージが詰まっていると思うので、私たちがそれに共感しているということと、彼らの考え方を世界に広めていけたら、一番嬉しいです。

 

[/ full_width]

News

“Burroughs Reloaded” by Victor Bockris

PUBLISHED BY PAMBOOK

Following the interesting release of PAMTASM, Australian retailer, clothing label and publisher Perks And Mini offer their second publication with…

Read More

intelligence Magazine Issue 05 Tokyo Launch Event

Our team is excited to announce the official launch event for intelligence Magazine issue 05 happening Friday, October 27th 2017….

Read More

HAVEN presents its inaugural collection

Our team at HAVEN have been working diligently to introduce its inaugural collection. Through launching the brand, HAVEN aims to offer its distinct…

Read More

NikeLab A.A.E. 1.0 Collection

"Advanced Apparel Exploration"

NikeLab recently introduced a new division to its active apparel line with the A.A.E 1.0 collection. In an effort to…

Read More

Stüssy Colour Bleed Mohair Sweater

Stüssy has created a great mohair blend sweater this season that features a sophisticated  design and colour palette. I’ve always…

Read More

intelligence Magazine speaks with Alex Zhang Hungtai

On the Canadian leg of his tour, we sit down with musician Alex Zhang Hungtai. Better known for Dirty Beaches —…

Read More

Stone Island Release Ice Jacket in Check Grid Camo

Stone Island are consistently upping the ante and reaffirming themselves as leaders in their field with forward-thinking designs and` innovative technology. Two…

Read More

BURTON x SOPHNET. for SOPH. Tokyo 18th Anniversary

SOPHNET. teases its latest joint project with BURTON as part of a series of unique collaborative efforts to commemorate the18th…

Read More